インカムゲイン、キャピタルゲインという言葉をご存じですか?
これらは、投資で得られる利益の種類を表す言葉です。
じつは、投資において収益の種類はこの2つしかありません。
この2つをさらに理解できれば、どのような投資方法がよりあなたにとって適切なのかを判断できるようになります。
なぜなら、それぞれの特徴が大きく異なるからです。
投資はどの手段を選ぶかによって、メインの収益が変わってきます。つまり、この2つについて理解が深まれば、どのような投資を選択すればよいのか、おのずと見えてくるというわけです。投資をするなら、まずは性質をしっかり押さえておきましょう。
この記事では、インカムゲイン、キャピタルゲインについて、それぞれの特徴と、どのような方法を選ぶのが最適かを解説していきます。
正しい投資の知識を身に着け、あなたにフィットする投資方法を見つけましょう。
目次
1.インカムゲイン・キャピタルゲインとは
インカムゲイン・キャピタルゲインとは、投資における収益のあげ方を示す言葉です。
投資を始めるには、まずこの2つの違いを理解すべきでしょう。
インカムゲインとは、資産を【保有】することで得られる収益のこと、
対してキャピタルゲインとは、資産を【売却】することで得られる収益です。
図のように、二つの方法では利益の出しかたに違いがあることが分かりますね。
この利益の違いこそが投資を進めていくうえで重要になってきます。
それぞれの特徴について、どのような差があるのか見てみましょう。
2.インカムゲイン=【ローリスク・ローリターン】
インカムゲインの特徴は、「ローリスク・ローリターン」です。
一度の利益は小さいですが、リスクが少ないので初心者にも始めやすいでしょう。
また、定期的な収入が得られる点が大きな特徴です。安定してコツコツ資金を増やしたい方に向いています。
詳しくみていきましょう。
2-1.一度に得られる利益は少ない
インカムゲインは、キャピタルゲインに比べて一度に発生する利益が大きくありません。
なぜなら、インカムゲインで一度に得られる利益は、購入金額の数パーセントという場合がほとんどだからです。
この投資金額における収益の割合を利回りと言います。
たとえば、利回りがインカムゲインのみで5%の場合、投資金を回収するには20年保有する必要があります。つまり、21年以上保有することで、さらなる収益が可能となります。
そのため、一度に大きな収益を上げることはできませんが、長期にわたり保有することで、投資金の回収とさらなる収益を狙うのが特徴です。
将来を見据えて資産を増やしたい方に向いているでしょう。
2-2.定期的な収入になる
インカムゲインの大きな特徴は定期的な収入源になることです。
保有するだけで利益が生まれるので、安定した収入を得られます。
ここはまさに大きなポイントです。ある程度決まった収入が増えるのなら安心感がありますね。
具体的に考えてみましょう。
たとえば、1000万円投資して利回りが5%の場合、年間で50万円の収入になります。
投資にローンを組んだとして、1年につき100万円+利息分を返済し、10年で完済できるとすると、
初めの10年間は50万円と利息分の支出になりますが、11年目以降は毎年50万円の収入を定期的に得ることが出来るのです。
このように、長期にわたって計画的に収入を増やしたい場合はインカムゲインが適しています。
将来を見据えて資産を増やしたい方はインカムゲインを選択しましょう。
3.キャピタルゲイン=【ハイリスク・ハイリターン】
対して、キャピタルゲインの特徴は、「ハイリスク・ハイリターン」です。
大きな利益を出せる方法ですが、その分リスクも大きいので注意が必要でしょう。
3-1.一度に得られる利益が大きい
キャピタルゲインでは、一度に大きな収入を得る事が可能になっています。
先述した通りキャピタルゲインは売却時に利益が出るため、保有資産の価値が上がれば上がるほど利益が膨らむからです。
たとえば、投資金1000万円で資産を購入したとしましょう。
この資産を、価値が1200万円に上がったときに売却をすれば、200万円の利益ですね。
このように、値上がりの時期を見極めることができれば、大きな利益を生むことができるのです。
3-2.大きな損失が出ることもある
一方で、大きな損失となる可能性もあるのがキャピタルゲインの特徴です。
そのため、初心者や大きなリスクは取れない方はやめたほうが良いでしょう。
というのも、キャピタルゲイン狙いの投資の場合、価格変動リスクがあるからです。常に値下がりのリスクを抱えなければいけません。
たとえば、1000万円の資産を購入しましたが、値上がりせず800万円まで値下がりしたケースを考えてみます。
これ以上値下がりして更なる損失となる可能性を考え、やむなく売却するとなると、一度に200万円の損失が生まれてしまいます。
これを「キャピタルロス」といいます。インカムゲインにはない損失リスクが、キャピタルゲインには前提にされているのです。
値下げ幅が大きければ大きいほど莫大な損失になりかねません。
キャピタルゲインを狙うならキャピタルロスもつねに隣りあわせということを覚悟しなければなりません。
このような理由から、リスクを負えない方、価格変動を見極められない初心者の方には不向きな方法と言えます。
4.投資別・インカムゲイン・キャピタルゲインの具体例
それでは、インカムゲインとキャピタルゲインには、具体的にどのようなものがあるのか、投資別に解説してきます。
4-1.預貯金
預貯金は投資ではありませんが、最も身近なインカムゲインがあります。利息がそうですね。
預貯金は種類によって利率が変わります。たとえば定期預金は、普通預金よりも利率が高く貯蓄性は高いです。ただし、1年や2年など設定した期間中はお金を下ろせませんので注意しましょう。
元本割れ(投資に充てた資金の額を下回ること)がないのでリスクがないのが特徴です。一方で、利益はとても小さいので、収入を増やしたい方には、効果を感じにくいでしょう。
4-2.債権
債権はインカムゲインがメインの商品です。債権とは、国や地方公共団体、企業などが資金の借り入れのために発行している有価証券のことです。
インカムゲイン
債権におけるインカムゲインは利息です。預貯金より利率が高いものの、大きな収益性はありません。満期になれば額面の金額が戻ってきます。より利率の高い定期預金のイメージですね。
キャピタルゲイン
一方で債権は満期になる前に売却することもできます。これがキャピタルゲイン、もしくはロスとなります。債権は景気動向や投資先の信用リスクなど複数の要因によって価格が変動するので、こちらは投資玄人向けなので初心者は避けるべきでしょう。また売却してしまうため、その場合は投資金の保証はありません。
基本的にはインカムゲインを重視した商品と言えます。
4-3.株式投資
株式投資とは、企業が発行する「株式」を買って、その配当や売却によって利益を得る方法です。
インカムゲイン
インカムゲインとして、配当金や株主優待があります。配当金は年に1、2回あるのが一般的です。企業の成績によって配当金が上がることもありますが、成績が思わしくなければ配当金自体がなくなることもあります。
そのため、あまりインカムゲインは重視されません。株主優待に魅力を感じる場合は、それを目当てに少額購入するという方法もあるでしょう。
キャピタルゲイン
株式は基本的にはキャピタルゲインを狙った商品です。価格の変動が大きいのが特徴で、大きなキャピタルゲインを生む可能性も、大きなロスになる可能性もあります。
経済状況の見極めや決断力を要しますので、リスクやパターンを理解した玄人向けと言えるでしょう。
大きく稼ぎたい場合はキャピタルゲインを狙う必要がありますので、慎重な取り扱いが必要です。
4-4.不動産投資
不動産投資は主に、アパートやマンション、戸建などの不動産を賃貸することで収入を得る方法です。インカムゲインとキャピタルゲインの両方があります。
インカムゲイン
まずはインカムゲインを見てみましょう。賃料収入がそれにあたります。
具体例を見てみましょう。弊社PLACの新築で、価格6000万円・満室時の利回りが9%の物件があります。
そうすると年収が540万円、月々でも45万円の収入になりますね。
他のインカムゲインと比べて、不動産は額が大きく、月々で手に入るので、十分な副収入になります。
定期的にまとまった収入を得たい方に適した方法と言えるでしょう。
キャピタルゲイン
次に、キャピタルゲインについてです。不動産投資はインカムゲインをメインで捉える方が多いですが、実はキャピタルゲインにも期待ができます。
なぜなら、他の投資のキャピタルゲインの場合とは異なり、不動産投資では購入価格より値上がりしなくても利益を出すことが可能だからです。
インカムゲインで賃料収入を得ながら、数年後に売却すれば、総合的にみると不動産の購入価格を上回る収益を狙える、ということですね。
もちろん、他のキャピタルゲインの仕組みと同様に、立地の条件や入居状況によって、購入価格よりも高い金額で売却して利益を上げることも可能です。
保有して利益を得ながら、適切なタイミングでキャピタルゲインを選択することもできるので、収入の得方としてバランスが良いですね。
4-5.FX(外国為替証拠金取引)
FXとは外国為替取引を「証拠金」(取引の相手方に預ける担保金のようなもの)で行う投資方法です。インカムゲインはありません。キャピタルゲインを狙う商品です。
為替差益を利用して売り買いすることで利益が出ます。例えば1ドル80円の時に、円を売って1000ドル買うとします。その後、為替ルートが1ドル100円に上がったときに、1000ドルで円を買い戻すと20000円の利益になります。
また、レバレッジというシステムによって、小額の資金で多額の投資が可能なので、資金面でのハードルは低いです。
しかしながら、価格変動リスクが大きいため、大きな利益を期待できる反面、何倍もの損失が出る事もありえます。
またFXには損失額が一定に達すると自動的に取引を終了させるロスカットという強制決済システムがあります。値上がりを待てず多額の損失がでるケースもあり得るため、投資の初心者や大きなリスクを負えない人にはおすすめできません。
4-6.仮想通貨
仮想通貨はインターネット上に存在する通貨です。FXと似ており、キャピタルゲインを狙う投資方法です。インカムゲインはありません。
FXよりも参入者が少ないため、さらに価格変動が大きくなります。大きく稼げる一方で巨額の損失が出る可能性もあります。ギャンブル性がとても高い商品です。より投資玄人向けの方法と言えます。
またサイバー攻撃による盗難やシステム障害、ネットワーク上のトラブルなど、あらゆるリスクがあるので注意が必要です。リスクを理解し慎重に扱わなければなりません。
5.インカムゲインとキャピタルゲイン、どちらがおすすめ?
ここまで、投資別にインカムゲインとキャピタルゲインのどちらの特徴が強いのかを見てきました。
ではいったい、どのような投資をするのが良い選択なのでしょうか。
5-1.ずばり初心者はインカムゲインがおすすめ
ずばり、初心者の方には、インカムゲインを重視した方法がおすすめです。
なぜなら、キャピタルゲインはハイリターンの反面、ハイリスクを伴います。
投資初心者が価格変動を先読みやリスクに対応するのは、正直難しいでしょう。
大きく収益を出したい気持ちはわかりますが、まずは着実に増やせる方法を選ぶのがベターです。
資産を増やす目的で投資を始めたのに、大きなリスクを背負い、果てに多額の損失となってしまっては本末転倒ですよね。
これまでに見てきたように、投資ではリスクがつきものです。
そのため、投資で求められる振る舞いは、この2点につきます。
これを押さえず、「稼ぐこと」のみに焦点を当ててしまうと、失敗したときに後戻りできないほどの損害が出る恐れがあります。
キャピタルゲインはギャンブル性が高い投資方法ですので、初心者の方にはお勧めできません。
インカムゲインであれば、よりリスクを減らし、着実に資産を増やすことが可能となります。まずはインカムゲインから狙うのが良いでしょう。
5-2.キャピタルゲインを狙う場合はリスクを理解しよう
とはいえ、すぐに大きく稼ぎたいという人もいるでしょうし、キャピタルゲインで成功した人もいるだろうという反論もあると思います。
もちろん、成功する人はいます。「億り人(1億円稼ぐ人)」なんて造語もできてしまうくらいですから、あこがれる人も少なくないでしょう。
ですが失敗する場合も念頭に置いておくのは必須です。
例えば、今年(令和3年)の3月にトルコリラが大暴落したトルコリラショックがニュースになりました。
FXの投資家では、200万円の証拠金がほぼなくなってしまった人や、口座残高がマイナスになってしまい借金を負う人、全資金を失う人、借金の返済に見舞われる人が続出しました。
この令和のトルコリラショックで、国内の個人投資家が抱えた借金額だけでも14.2億円以上、トータルの損失はその何十倍とも予想されています。
このような不測の事態もあり得るということも知ったうえで、それでも投資に不慣れな方がキャピタルゲインを選ぶべきでしょうか?
答えは「NO」です。
大きく稼ぎたいのならリスクはつきものですが、そのリスクを負うことは現実的に考えて無謀と言えるでしょう。
まずは資産を守り、手堅く増やすのを目標にするべきです。
5-3.不動産のキャピタルゲインは性質が違う
キャピタルゲインの中で、唯一初心者にもおすすめできるのが不動産投資です。
というのも、先にふれたとおり、不動産投資におけるキャピタルゲインは性質が異なるからです。
不動産の場合、市場価格に気を付けることは他の投資と同様ですが、常に価格変動が激しいほかの投資方法のような難しさはありません。
なにより、不動産では保有している分にはインカムゲインが得られます。
キャピタルゲインだけにとらわれて収益を考える必要がありませんので、ほかのキャピタルゲインよりも比較的に低リスクでキャピタルゲインを狙えますね。
キャピタルゲインにも挑戦したい場合、不動産投資でインカムゲインを得ながら、時機をみてキャピタルゲイン狙うのがもっとも堅実な方法と言えるでしょう。
6.リスクとリターンで投資方法を決定しよう!
やはり、なるべくならリスクは抑えたいものです。
しかしできるなら稼ぎたいというのも実情としてあります。
では、どのように投資方法を決めるのがよいのでしょうか。
6-1.投資のリスクとリターンは原則的に一致する
ここまで見てきたように、インカムゲインは【ローリスク・ローリターン】、キャピタルゲインは【ハイリスク・ハイリターン】と、投資のリスクとリターンの大きさは原則的に一致します。
例えば、キャピタルゲインの中でも資産の価格変動の幅が大きいほどリスクとリターンは大きくなります。変動が小さければその分リスクもリターンも小さくなっていきます。
インカムゲインでは元本割れや維持費という比較的小さなリスクですむ一方で、リターンは購入金額の数パーセントという場合がほとんどです。
まずはリスクとリターンの関係は表裏一体だということは覚えておきましょう。
そのうえで、どれくらい稼ぎたいのか、どれくらいならリスクを負うことができるのかのバランスで投資の方法を決定しましょう。
6-2.不動産投資に限ってはリスクとリターンをコントロールしやすい
その中でも、不動産投資はリスクとリターンをコントロールしやすい投資方法です。
なぜなら、ほかの投資では基本的に金融資産であるのに対し、不動産は実物資産だからです。
金融資産の価値は価格変動で決まります。投資家個人でコントロールできません。
一方で、実物資産なら手を入れて価値を高めることが可能です。工夫次第で高利回りにすることも不動産価値を上げることもできます。
物件の価値を高めるには入居者に好かれる物件にすることです。立地条件やリフォーム状況などを好条件にできれば、結果的に需要が高まり価値を高めることができます。もちろん需要が高まれば満室にできる確率も上がります。満室になり利回りが上がれば、保有するうえでも売却するうえでも価値になりますね。
さらに、先述したように、インカムゲインを得ながら売却へとシフトできるという点も大きなポイントです。
このように、資産そのものに工夫する余地がある点でも、バランスを見て投資方法を選べる点でも、不動産は【ローリスク・ミドルリターン】が実現可能な方法なのです。
7.リスクを最小限に抑えるには分散投資も検討しよう
それでも、投資ではリスクを避けて通れません。
キャピタルゲインを狙えばキャピタルロスの可能性を併せ持つことはこれまでも書いてきたとおりですが、インカムゲインであっても、元本割れ(購入価格よりも資産価値が下回ること)のリスクがあります。元本確保型の商品もありますが、それも確実とは言えないのが現状です。
ですので、さらにリスクを押さえていくためには、分散投資がおすすめです。
投資先を分散することで、なにか一つで損を出してしまっても、ほかの投資でカバーすることが可能です。
投資先を複数持てば、その分リスクも分散できます。リスクを減らす常套手段ですので、分散投資もぜひ検討しましょう。
さいごに
さいごに
こちらでは、インカムゲイン・キャピタルゲインのそれぞれのポイントを解説していきました。
このように、2つの性質の違いがお判りいただけたかと思います。
上記のポイントを踏まえ、投資別のそれぞれの傾向についても述べてきました。
まずは、投資のリスクとリターンは原則一致するという点は抑えておきましょう
初心者の方は、まずはリスクの小さい投資方法から始めてみるのがおすすめです。
リスクを抑えるには、インカムゲイン重視の投資を選択することや、投資先を分散することが挙げられます。
リスクは少なくしたいけどできるだけ稼ぎたい場合は、リターンを工夫できる不動産投資がおすすめです。インカムゲインを得ながらキャピタルゲインも狙えるのも、不動産の大きな魅力ですね。
投資の方法を判断するうえで大切なことは、どのくらい稼ぎたいのか、どこまでならリスクを負えるのかを十分吟味することです。
はじめに、あなたの目標とする収入や、どのくらいの資金を使えるのかは事前に決めておきましょう。明確にしておけば、収益にならない方法やリスキーな方法に逸れずに運用できます。ぜひ、投資の指針を決めるのにお役立てください。
あなたに合った投資方法を見つける手助けになりましたら幸いです。
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